皆さん、こんにちは。
筆者のキョン(@kyon2021f)です。
今回は花ちゃん主演ドラマ「おちょやん」第11週・第12週についてのレビューです。
作品情報
2020年度後期 第103作 連続テレビ小説「おちょやん」
【放送日時】
2020年11月30日~2021年5月14日
【作】
八津弘幸
【主題歌】
秦基博「泣き笑いのエピソード」
【主な出演者】
杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥 ほか
【あらすじ】
明治の末、大阪の南河内の貧しい家に生まれたヒロイン、竹井千代は小学校にも満足に通わせてもらうことができず、9歳の時に、道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出される。そこで目にしたのが、華やかな芝居の世界。彼女は女優を志し、芝居の世界に飛び込んでいく。そして、京都の映画撮影所などを経て、大阪で新しく生まれた「鶴亀家庭劇」に参加する。そこで、喜劇界のプリンス、天海天海(あまみ てんかい)と出会い、結婚。喜劇女優として少しずつ成長していく。千代は天海と二人三脚で理想の喜劇を目指して奮闘するが、戦争が始まり、道頓堀は空襲を受ける。戦後、劇団は「鶴亀新喜劇」として復活するが、結婚生活は破綻。彼女は芝居の世界から去ってしまう。しかし、ラジオドラマへの出演をきっかけに、女優として不死鳥のように復活する。そのラジオドラマで、12人の子供を抱える母親役を演じた。大家族をめぐる泣き笑いのドラマは大きな反響を呼び、10年にわたる人気番組となった。そして、彼女は「大阪のお母さん」として絶大な人気を獲得し、名実共に上方を代表する女優となっていく。
引用:NHK放送史「おちょやん」
第11週・第12週レビュー
みつえの恋愛
第11週はみつえの恋愛にフォーカスしています。
時代は昭和初期、みつえもだんさんやごりょんさんから言われていたように、お見合い結婚になりそうでした。
裕福な家庭に嫁がせ、幸せになってほしいと親が願うことが一般的だった時代です。
現代の感覚だと、好きな人と結ばれるということが当たり前に思いますが、ごりょんさんの恋も叶わなかったように、そういう時代なんですよね。
ましてや、のれんわけといえども商売敵だった福富に嫁がせるとなると親が心配するのは当たり前でしょう。
女性の地位も高くなく、嫁がせた先でどのように扱われるかわからないという不安。
娘を案じて見合いをさせるという考え方です。
最終的には福助との結婚を許可してもらえるわけですが、時代的には「駆け落ち」もあったのでしょうね。
でも、やっぱり結婚する=幸せになるということは親に祝福してもらいたいもの。
その代弁者として千代の言葉があったわけですが、千代は親(だと思える親)がいないからこそ、親に祝福してもらえない結婚はすべきではないと考えたのでしょうね。
親の愛情
親は子どもが心配だから厳しく言う。
でも一方で甘やかしてしまうこともある。
これは親のさだめだと思います。
でも親が子育てを振り返り、こういったことを言葉にすることを聞けること自体幸せなのかもしれません。
千代はそういった親の想いさえも聞くことができず、自分にかけられた愛情を感じることができないです。
酒におぼれる父親と幼少期に亡くなった母親。
子は親を選べないとはよく言ったもので、こればかりは不幸としか言い表せないですね。
千代はその分、自分で未来を切り開いてきた強さを持っており、それが周囲にエネルギーとなって伝わります。
親には感謝して、いつでも会える関係性でありたいなと改めて感じました。
警察による検閲
脚本に対する検閲が入ってきたことが描かれています。
当時の検閲事情は以下のとおり。
築地小劇場が生まれる前年の大正12年には関東大震災が起き、自由でおおらかな大正デモクラシーの空気は一変します。また大正14年には普通選挙法が成立しますが、同時に生まれた治安維持法により、演劇の世界も少しずつ国の統制に置かれてゆくことになるのです。最初は検閲でした。芝居の台本を1ヵ月前に提出し、お上からOKをもらわなければいけなくなった。当初は「ここは都合が悪いから直せ」という程度でしたが、時局が厳しくなるにつれ台本を開いた途端に「ダメ」と突き返されるように。しかも1ヵ月前のダメ出しならまだよく、上演の3日前、ひどいときには前日に「この芝居は許可できない」と通告されることもありました。検閲をパスしても、「共産主義を連想させるから赤色の照明はダメ」と言われたり、外国人風のメイクをすれば「敵性国家の真似事だ」と指摘されたり。そういう中でも踏ん張って演劇の世界に残ろうという演劇人は多かったのですが、国の方針に沿わない芝居は次第にやりにくくなってきました。
引用:現代ビジネス 「戦時下の演劇人」が教えてくれる、それでも声をあげることの意味
破廉恥なシーンなど公序風俗に反するものは削除の対象となるなど、芝居の世界も制限がかかるようになってきたようです。
そのようななか、一平のアドリブキス。(笑)
結婚観を見たように、現代とは感覚が決定的に異なるので男女のそういった色恋を大衆の面前で晒すことの恥辱は半端ないものだと思います。
しかも、千代のファースト接吻。
童謡が隠せない千代はかわいかったですが、「接吻を芝居に捧げる」という発言に強さを感じました。
今後も時代が進むにあたり、このあたりの制限も強くなっていくのかなぁと思うと寂しくなってきますね。
弟・ヨシヲ
何よりもお金が大事だと言うヨシヲ。
それやったら、テルヲと一緒やないか。
千代の言葉ひとつひとつが胸に突き刺さりました。
街で放浪しているところを助けられたことによって、ヨシオはヤクザの仲間になってしまっていた展開はなかなか衝撃でした。
悲しい事実ではありますが、「お金があれば何不自由なく生きられる」ということには納得します。
それも当時の金銭感覚からいって相当なお金がもらえる。
貧乏な生活を強いられてきたヨシオなら、そう思うのも自然かもしれません。
同じ境遇にありながらも、心の豊かさを求めてきた千代との対比が何とも言えず、悲しく見えました。
なかでも、一平に水をかけられるシーンは心に響きましたし、千代の裏切られたという気持ちとヨシヲの開き直りとも思える言い分の衝突がすごかった。
最後の別れも、泣きながら笑顔であり続ける千代。
千代らしさが出ていて前半の名シーンです。
まとめ
恋愛・愛情・兄弟という人と人との関係性にクローズアップした2週でした。
千代のことを思って行動する一平も、なんだか優しいなと思ったり。
小暮ロスとか言っていましたが、やっぱり千代のことを理解しているのは一平なのかなと思ったり。
みつえの結婚や岡安の苦労など、千代の周囲の環境も大きく変わってきました。
次週からはどんな展開になるのか目が離せませんね。
おちょやん後半戦にはいります。
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もちろん「おちょやん」も見られます。
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